人が集まる難しさとアンサンブルの話

一般吹奏楽団の団員は平日は仕事や学業などをしています。
吹奏楽は趣味であり、生活するために必要な仕事以外の時間で趣味を行うものですよね。
土日休みだとして、月~金まで働き、一週間のうちたった2日しかない貴重な休みをどう使うのか。この選択は非常に重要です。

よこはま吹奏楽団は基本的に日曜午前が練習ですが、土曜にちょっと寝坊したりしてゆっくり過ごし(過ごせない人も、仕事の人もいるでしょうが…)ちょっと元気になって日曜の練習に臨むと。

「よ~し、好きな楽器が吹ける!明日の合奏もがんばるぞ!」(元気ハツラツ)

楽器の演奏は体力も使いますし、集中力が必要なので気力も使います。
もしこれが仕事の疲れがとれず夜更かししたり色んな要素で体力気力が落ちていると…


こうなりますね。もうぐったりです。「楽器吹く元気ない…体を休めなければ…」となります。

社会人の皆さんは、休日の体力(気力)を何に使っているのでしょうか。
元気ハツラツの図では、体力気力のすべてを練習に費やすかのように見えますが実際は趣味の吹奏楽以外に色んなことをやっています。たとえば、子供のいるお父さんお母さんであれば子供と一緒にどこかへ出かけたりするでしょうし、仕事のために勉強をしたり、自己啓発をしたり。恋人とデートしたり、友達に会ったり、休日にしかできない買い物や片づけたい雑務など、様々です。
つまりこんなかんじでしょうか。


とてもざっくりですが、全体力(気力)100%のうち、趣味に費やす部分は半分以下になりそうです。このあたりは人によって配分がかなり違います。こんなに趣味に割けないという人もいるでしょうし、その逆も然り。それに、体力(気力)が60%くらいしかない時にはそのなかでやりくりしていくのでもっと大変です。

上の図のように、趣味=吹奏楽(合奏)と、ひとつの趣味に集中するならできるとしてもエネルギーを注ぐ先が複数になってしまうとかなり大変です。そう、たとえばアンサンブルの練習とか。
どうしたって多くの時間とエネルギーを使うことになるので、イメージとしてはこんなかんじでしょうか。


よこはま吹奏楽団はアンサンブルコンテストへの出場は希望チームの参加としていますが、団全体として進めている演奏会やイベントへ向けた練習は毎週あるため、アンサンブルコンテストに出るメンバーは全体の通常練習以外の時間を使って練習する必要があります。
クラリネットチームは土曜、金管チームは日曜午後に半日定期的に集まっていたようですが、時間換算すると休日2日のうち合奏半日、アンサンブル練習半日でほぼ1日吹奏楽に費やしているということになります。なかなかですね。

つまり「社会人が趣味の時間を確保する」というのは相当大変なのです。
しかし集団で音楽を作る吹奏楽は集まらなければ練習になりません。よこはま吹奏楽団の団員資格には、

・原則として年間練習日の 3 分の 2 以上に出席できる者
・団の活動に積極的に参加し協力的である者
・原則、他の吹奏楽団・管弦楽団に所属していない者

というものがあり、「練習に参加すること」「演奏会等、行事に参加すること」は団員義務でもあります。

「原則、他の吹奏楽団・管弦楽団に所属していない者」とされているのはなぜかというと、先ほどの図のように社会人が趣味に割ける時間と体力と気力には限られているためです。たとえば2つの団体に所属して、土曜日に楽器を演奏し、また日曜日も演奏となったら「土曜日演奏したから日曜はもういいか」となりそうですし2つの所属団体のイベントが重なったり立て続いたりするようなことがあれば、どちらかを優先せざるをえない状況になります。

「団全体の練習(合奏)」と「アンサンブル練習」も、言ってみれば2足の草鞋で、ふたつの団体に所属しているようなものです。

しかし、アンサンブルメンバーは「団全体の練習(合奏)はきちんとやったうえでアンサンブルをする」ということを理解し実行していたと思います。メンバーの中には、まだ小さいお子さんがいるお父さんお母さんや、仕事が忙しすぎる人たちなど、それぞれ事情がありいろんな苦労もあったでしょう。

じゃあ何故やるのか!?

よこはま吹奏楽団のメンバーの場合は、『アンサンブルは面白いから』という理由が強いように感じます。なおかつ技術向上にもつながり一石二鳥!コンテストという発表の場を目標にして一曲の精度を上げていく作業は楽しいものですし勉強にもなります。

一般団体のアンサンブル編成を見ていると、なんとなく4重奏の編成が多いような。たぶんそのくらいの人数のほうが練習に集まりやすいですし、精度を上げていく作業は少人数のほうが詰めやすい部分もあるかもしれません。その代わり大変な部分ももちろんありますが…。
人数の多い編成だと「忙しい社会人が集まって練習する」ということ自体が困難で、人数が増えるほど音楽を共有することが難しくなりますが、その編成でなければ味わえない良さもあります。

管理人が昔アンサンブルコンテストを聴きに行ったときは、編成ごとに順番がまとめられていました。
木管編成の部をずっと聴きながら「クラリネットは深い音が本当に良いな」とか「サックスはどれを聴いても上手すぎてうらやましい…」とか、木管の響きに惚れ惚れしていたのですが、金管の部に代わって金管編成の響きを聞いた瞬間に鳥肌が立ちました。これは完全に自分の好みの問題でしょうが、こんなに楽器の響きの種類が違うんだなと思ったのを今でもよく覚えています。
アンサンブルは、それぞれの編成でそれぞれの良さがあります。奏者自身もそれを楽しんで演奏できたら、きっと良い音楽ができるのではないでしょうか。

たった5分の演奏のために、たくさんの社会人が多くの時間とエネルギーを費やして作ってきた演奏。それってすごいことじゃないかなあと思います。アンサンブルコンテストに出場される団体の皆さんには、ぜひ力をだしきって楽しんでもらいたいと応援しています!

「いや~、でも緊張して息が浅くなりそう…!」という人もいるかもしれませんが、緊張は悪いことではありません。適度な緊張はパフォーマンスを上げると言われていますしね。
もしガクガクブルブルしてきてしまったら「よっしゃあ!これは武者震いだぜ!興奮しているんだぜ!!」と脳内変換してみるのも良いらしいです。
それでも気弱になりそうであれば、アンサンブルは一人でやっているわけではないことを思い出してみましょう。なんのために時間とエネルギーを使ってここまでやってきたのか?
「この仲間と一緒に演奏を楽しむため」という原点に立ち返るのも良いかもしれません。そして、終わったあとには支えてくれた人たちに感謝を伝えましょう。

出場されるみなさんが楽しめますように!

演奏会の予約が開始されています!
すでにたくさんのご予約をいただき、ありがとうございます!
詳細はこちらのページをご確認ください。皆様のお越しをお待ちしております。

 

~おまけ①(昔のアンサンブルコンテストの記録)~

↑この年はサックス祭りだったようですね。すごい…!

 

↑この年はサックス四重奏が7団体、金管八重奏が7団体!すごいですね~

 

~おまけ② 審査の話~

コンクールやコンテストの審査は前半部分でほぼ決まるとよく言われています。
が、それを覆した例も過去にはあったようで、終盤にものすごく良い演奏をしたことで点数を書き換えられたという話を聞きました。
つい点数を気にしてしまうかもしれませんが、演奏は最後まで集中して良いものを作ることが奏者としての務め。演奏中にミスをしてしまっても、ハプニングが起きても、演奏中は脳内反省会をせず音楽に集中しましょう!