還暦記念演奏会 前日譚~各パートの積み重ね~

演奏会が終わり、よこはま吹奏楽団の団員募集が再開しました!
ご検討中の方は「団員募集」ページをご確認ください。

近々このサイトをリニューアルするので、もしかすると引っ越し作業中に楽団HPが停止している可能性がありますが…
そのまえに演奏会レポートを書いてしまいましょう。
と思ったのですが演奏会レポートの前に前日譚を少々。

今回の演奏会、よこはま吹奏楽団にとってはまたしてもちょっとピンチなことがありました。
それは・・・

4月の練習に足立先生が一度も来れないこと!!ヒェ~~なんか前にもこういうのあった気がする!( ゚Д゚)
こればっかりは仕事の都合なのでなんともし難いわけです。そのぶん3月は指揮者合奏が多くできたので足立先生の指揮で曲の仕上げにとりかかっていました。

どのパートも、パートごとの課題が色々とありましたが、フルートパートは今回どうしてもピッチがごまかせないシビアな部分があり、それがなかなか合わずに苦労していたようです。

ピッコロやエスクラは特に、ふだんから「ピッチに気力が削られているのだろうな…」と想像できますが、あんな細くて短い棒みたいな楽器で(失礼)どうやって調整するのか、吹いたことのない人間には謎が多すぎます。しかし、静かに熱意を秘めているフルートパートリーダーは淡々とパートメンバーと集まり音合わせなどをしている様子でした。

オーボエは長い期間一人ですが、静かに粛々と確実な音色をいつも聞かせてくれます。ソロ楽器なのでオーボエ奏者は「心臓に毛が生えてないと演奏できない」なんて言われ方もするみたいですが(緊張に負けない度胸があるって意味です)、こんなに安定したパフォーマンスを発揮できるのは並大抵のことではないです。エル・カミーノ・レアルは中間部の長いオーボエソロが有名ですが、きっと素敵な演奏を聴けることでしょう。

静かなフルボエパートに対して やかましい にぎやかなクラリネットパート。
いつしか特殊管が増え、楽器的にも大変にぎやかな充実のパートになりつつあります。こちらは休憩時間に写真を撮ってもらっているの図 ↓

バスクラ2本にエスクラ2本、アルトクラとは…
次はコントラバスクラですかね!?

クラリネットは、これまでになかった「大きなホールでの演奏」における課題がありました。
それは音量問題。みなとみらい大ホールで二階席三階席に届く音にするために、クラリネットの先生からのアドバイスをたくさんいただきました。

いっしょうけんめいに演奏しても、「それじゃ聞こえないよ」と言われるのはなかなかこたえるものがあったかもしれません。でも、クラパートは持ち前のにぎやかさで(?)へこたれることなく練習を続けていました。クラリネットもこの半年でまた人が増え、就活のため一度退団した学生メンバーが内定を決めて早々に楽団に戻ってきてくれるなどの嬉しい出来事もありました。

 

クラリネットに対して、「もう少し静かに」と言われることが多かったかもしれないサックスパート。原曲がオーケストラの曲は、もともとサックスという楽器は存在しないので吹奏楽版として演奏する際にはサックスの役割は多岐にわたります。

弦楽器の役割だったり、ホルンなど他の楽器の補強の役割だったり。場面場面で表情を変える必要がありました。楽器の性質上音がよく通るので、クラシック曲では弦楽器の静かな雰囲気を出すために苦心したようです。テナーサックスが不在の期間もありましたが、2024年になってからついに待望のテナーサックスも加わり、メンバー皆がひたむきに練習にとりくんでいる姿勢が印象的でした。

さてお次は金管。
ホルンパートは演奏会2週間前にちょっとした革新が起きていました。
これは4週間前くらいの練習写真。

そしてこっちは一週間前。(写真は木管中心曲で待機中の金管メンバーの図)
なにが違うかわかるでしょうか?

ホルンパートの革新とは…6人横並びだった演奏隊形をボックス型にしたのです!
に、2週間前に!?ちょっと直前すぎやしませんかね…というかんじですが、まーなんというかパート人数の少ない期間が長くてすっかりその発想が抜け落ちていたというのがあったのかも。でも、ふとしたキッカケで「いや、ボックスのほうが良くないか!?」となって吹いてみたところ断然合わせやすかったようです。

ホルンは今回のプログラム、なぜか目立つ曲が多かったので「や、やばい…しっかり吹かねば」という意識が強く、パート練習もがんばっていました。そして焼肉でスタミナをつけ、パワーアップできた…はず!?実はメンバーの中には途中休団せざるをえなかったり活動を続けられなくなる可能性もあったりしたのですが、なんとか全員でここまでやってこれました。苦労をのりこえたあとの肉はうまい!ですね。

ずっと人員不足だったトランペットは、ようやっと5人になりましたがパート内での音合わせに苦心していたようでした。金管には「音をちゃんと当てる!」というのがずっと付いてまわりますが、トランペットはそれが特に顕著ではないかと思います。しかし、「音が当たれば良いわけではない」「パートで音色を合わせ、曲の中で求められる音色を出したい!」と、闘志を燃やしながら練習をしていたように見えました。

写真は入手できていませんが、パート練習もしていたようですね。

「うまくいかない!くやしい!もっと良い演奏がしたい!」という想いは皆ありますが、その意思の強さはトランペットから特にビシビシ発していたような気もします。表向きは「目立つところは恥ずかしいからあんま注目しないでくだされ…」というメンバーもいましたが、トランペットの意志の強さは音に表れているので本音はそんな弱気じゃないんだろうなと勝手に想像していました。

シルヴィア組曲 4曲目の「バッカスの行列」は、冒頭にトランペットだけのファンファーレがあり、今回の演奏会ではそこがトランペットパート最大の見せ場でした。しかし、トランペットパートにとっては2、3曲目がほとんどお休みのため楽器が冷えたころにファンファーレで登場!となると結構な緊張感があったはず。技術的な面はもちろんですが、度胸も試されるようなプログラムだったかもしれません。

最後列からバリバリ吹いているトロンボーン。この半年くらいでさらにパワーアップしたようでしたが、そこにはやっぱり影の努力があり、金管レッスンをみていただいているトロンボーンの先生にパートレッスンをしていただいたりしていたようです。

ふだんは「ウフフ…」と控えめに談笑している様子のトロンボーンパートですが、演奏になると芯があってしっかりした音を出してくるところがカッコいいです。

控えめといえばユーフォニアムもでしょうか。
ある吹奏楽アニメのおかげで昔より楽器名の知名度があがったそうですが、あまり吹奏楽に詳しくない人には「ユーフォニアム?どんな楽器だっけ?」と言われてしまうことが多いみたいですよね。しかし!今回の演奏会ではユーフォニアムのソロのある曲が二つあり、二人がそれぞれソロを担当することになっていました。金色と銀色、二人色違いというのがなんだか良いです。
わかりやすい注目を浴びることの少ない楽器が脚光を浴びると、仲間としては嬉しくなりますね。「うちのユーフォを聴いてください!どうぞどうぞ!」みたいな。

でも、ユーフォはソロとかでなくても裏メロディー等でとても良い仕事をしているので、あまり知らない人にはぜひ知っていただきたい楽器のひとつです。

よこはま吹奏楽団ではユーフォニアムとチューバとひとまとめにして「バリチューパート」としていますが、ここのメンバーの集いではちょっとリッチなお食事会が開催されているというもっぱらの噂です。美味しいもの好きが集まっているのか!?どうなのか!?

よこすいチューバは三人という贅沢さ。演奏中写真は楽器で顔が見えないのがチューバの悲しいところですね。

バスクラにバリサク、そしてチューバという盤石な低音隊。
しかし練習ではチューバ三人がそろうことがなかなかなく、誰かしら一人いない…みたいな状態もありました。それでも、三人そろうと休憩時間には話が弾むようで、「このまえ新幹線に乗ったらチューバ抱えてる人がいて…!」みたいな話をしながら結束力を深めていっていたようです(!?)

どこのパートも、パートメンバーとはコミュニケーションをとることが多くなりますが、演奏面において最も濃いコンタクトをとりながら練習していたのは打楽器なのかも。

合間をみつけて相談したり

休憩時間もひたすらに練習か相談、という様子。

広い練習場所では客席に出て遠くからメンバーが音を確認することも。打楽器はとにかくバランスが難しいので、今回の大きなホールでの演奏は心配な点もあったことでしょう。
打楽器パートは普段から密に相談しあっているせいか、お互いに客観的な意見を冷静に伝え、それを尊重し吟味するのが当たり前の良い空気感ができているように見えます。

いろんな楽器のある打楽器パートでは得意不得意が分かれるようで(特に鍵盤は顕著だそうです)そこも大変なところだなと。

このもはや家具みたいな大きさの鍵盤も、音の響き方の威力がすごくて曲の中でとても良い味を出していました。いや~でも同時に三音とか鳴らしてピアノみたいに和音を弾くのは難易度高すぎますよね。手が足りない。こんどチャンスがあればまじまじと鍵盤楽器奏者の手元を観察してみたいです。

そういえばシロフォンは木管連符と同じ動きをしていることがありますが、管楽器だけだとぼやけて聞こえてしまうところを輪郭をはっきりさせてくれる効果もあったりして、打楽器には打楽器にしかできない役割があるんだな~と、当たり前の感想を思ったりも。セクション練習は、こういうのを取り出してやると楽しいし勉強になるんですよね。

ちょっと話がそれました。

こんなかんじで、各パートそれぞれ練習を重ねてきていました。パート内としての演奏技術向上にはパートリーダー主導になる面が多いですが、パート練習ではメンバー同士で意見をだしあったりして皆で考えながら練習していたのだろうと思います。
そして、指揮者は指揮者で、改めて音楽の勉強をしつつ曲に向き合い、どんな指揮を振ればもっと良い音楽になるのか、奏者が良いパフォーマンスを発揮できるか、悩みながら自分に宿題を課されていたようでした。特にシルヴィアについてはオーケストラのスコアを研究されたようです。

3、4月のラストスパート。基本的な部分はほぼ吹けるようになったところから表現力をあげていく期間は、奏者の集中力が上がり密度の濃い練習時間となるためとっても楽しいです。細かい部分を修正する必要もあり、パート・セクションごとに取り出すこともあります。そんなとき吹いていないメンバーは少々待機時間となるわけですが、そういう時に、いかに集中力を切らさないか。指揮者が話す他の楽器へのアドバイスを自分のこととして聞き、一緒に考え、何か得られるものはないかと貪欲になる、という姿勢が合奏全体の雰囲気と音楽の質を良いものにするために大事です。

すこしまえに、「よこはま吹奏楽団の弱点は、本番の場数をあまりふめていないこと」という話をしましたが・・・果たして、みなとみらいホールなんて大きなホールで緊張に負けずしっかり演奏できるのか!?

本番レポートを乞うご期待~ (^o^)/