コンマスとは?音楽家に大切なものとは?~ライナー・キュッヒル氏の興味深い話~
前回の記事で、長年ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターを務めた、ヴァイオリニストのライナー・キュッヒル氏の話を書きました。
キュッヒル氏のことを知るなかで非常に勉強になることも多かったので、今回も関連の話を。
あ、よこはま吹奏楽団の近況報告はこの記事の最後のほうに書いています。
見学ご希望の方などはご参考までに…
なお、写真は2020年2月上旬の練習風景です (^_^;)
みなさんは、「コンサートマスター」(略してコンマス)とはどういうものだと捉えていますか?
アマチュア吹奏楽団体経験者にとっては、
「演奏会始まる前になんかチューニングする人だよね?」
「クラリネットのトップの人がそうなんでしょ?」
という程度の認識かもしれません。
一般的には、コンサートマスターの役割としては次のようなものだそうです。
オーケストラなどの大きな演奏団体では指揮者が置かれるが、実際の細かな音の出だしや切る位置、微妙なニュアンスは、指揮では示しきれないことも多い。このような場合、ほかの団員は指揮を見るのと同時にコンサートマスターを見て演奏し、コンサートマスターは必要に応じて指示を出す。
何らかの事情で演奏会本番になって本来の指揮者が出演できなくなり、代役の手配がつかない場合、コンサートマスターが指揮者の代行として、オーケストラ全体に指示を出すことがある。
(中略)
練習に際しては、指揮者の指示を補ったり、指揮者の指示に従って演奏法を細かく指示したり、演奏者を代表して指揮者と協議したりする。多くのオーケストラでは、(楽譜に特に指示されていない部分での)弦楽器セクションのボウイングを決めるのもコンサートマスターの役割であり、オーケストラの音色を特徴づける重責を担っている。
(中略)
演奏の前後に指揮者が挨拶をするときには、一般にオーケストラは起立するが、起立、着席、楽屋に引き揚げるなどの合図はコンサートマスターが行う。 (Wikipediaより)
管理人は弦楽器のボウイングの重要性を理解していないのですが、なんとなく、コンサートマスターはオーケストラだからこそ重要な役割を担っているような気がします。
吹奏楽ではコンマス=クラリネットというわけでもなく、アルトサックスやオーボエが担当することもあるようです。
ライナー・キュッヒル氏は45年間もウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターを務めましたが、コンマスを特別扱いするような空気はおかしいと感じていたそうです。
聞いた話なので情報源が確かではないのですが(間違いがあったらご指摘お願いします)、キュッヒル氏は演奏会の時に、コンマスがソリストのようにあとから登場するのは威張りすぎのように感じていたそうです。(キュッヒル氏は他の奏者と同じタイミングで入場していたそうです)
また、チューニングに関しても、オーボエ奏者1人に全員が音程を依存するのはリスクが高いとも考えていたそうです。
プロ中のプロがこう考えているのだとしたら、「演奏会前のよくあるチューニング」の意味ってなんなんだろう…と思ってしまいます。
仮に演奏前のチューニングでピッチをばっちり合わせても、オーケストラだと金管楽器は出番がくるのが演奏開始約30分後とかありますしね。そんな時間経ったら楽器の状態も絶対変わってますしね。
(ブラームスの交響曲第1番では、トロンボーンは第1~3楽章は全て休みで、第4楽章で初めて登場します。しかもものっすごいまわりが静かで目立つコラール!)
アマチュアの場合はあの短時間のチューニングで耳で聴いて本当に合わせられてるの?という疑問もあります。
実質音出し時間のような感覚の人が多いような気がしますが。
もはや儀式的なかんじでしょうか。うーん、よくわからん・・・
ちなみに吹奏楽のチューニングはB♭ですが、B♭以外の音を演奏会前のチューニング時にぎゃあぎゃあ吹くのはどうなんだろうと思います。
B♭から5度のFを確認しておきたいとか、意図があって別の音を出すならわかるんですが、完全に自分の音出し時間としてうるさいくらいに音を出すのは違うような…
まあ、いろんなケースありますけどね。
それはともかく、キュッヒル氏はインタビューの中でコンマスとはどのような役割かということについて、次のように述べていました。
「指揮者とオーケストラをつなぐ役割もありますしメンバーをまとめるのも仕事です。演奏するときの雰囲気作りも大事です。」
プロの世界では、いろんな指揮者と演奏をしなければならないので、”指揮者とオーケストラをつなぐ”というのは演奏中の話だけではなく他の部分でも重要なことなんでしょうね。
キュッヒル氏は次のような話もされていました。
「若い人たちはコンピューターから離れられないのが問題です。もっと自然と向き合い、観察してほしいと思います。(中略)自然と音楽には大変深い関わりがあるのです。」
アマチュアだとしても、音楽が表現手段であることは同じです。
表現をする奏者が、自分の中に豊かな感情を持っていることが、いい音楽に繋がるのでしょうか。
昔、管理人は学習塾で小学生相手に国語を教えていたことがありました。
国語の問題には、「このときの登場人物Bの気持ちを答えなさい」みたいな問題があったりして、物語の情景をイメージできたほうが答えやすいかんじがありました。(実際には登場人物の気持ちは読み手が勝手に想像するものではなく、文章中に隠されているヒントから読み取ればいいだけなのですが)
国語の先生としてのアドバイスでありがちなのは「想像してみて!」という言葉ですが、実際のところは想像というのは経験がないとできないものだそうです。
考えてもみてください。
「川がサラサラと流れている」
という言葉から、情景をイメージできる人は「川」を見たことがある人で、なおかつ濁流ではない緩やかな流れの美しい川を見たことがなければ、「サラサラ」のかんじもわかりません。
川を一度も見たことがないのに”想像しろ”というのは無理がありますよね。
人の心の痛みを理解することも、自分が痛みを経験したことがないとわからないものです。
今は、どんな風景もインターネット検索で見ることができますが、実物を見たり感じたりする体験は全く別物です。
もしかしたら、キュッヒル氏が言っている「もっと自然と向き合って」というのも、自然から感じられる様々な感覚を体験して、自分自身の経験として引き出しを多く持っておきなさい、ということなのかもしれません。
有名な音楽家のお話がとても興味深かったので紹介させていただきました。
ちなみにYou Tubeで検索するとキュッヒル氏のインタビュー動画がヒットします。
奥様が日本人なこともあり、親日家で日本語も堪能とのことですが、奥様のことを「女房ちゃん」と呼んでいるのが微笑ましかったです。
さて。楽団の話をしないのもアレなので団内の話をしましょうか。
まずは…以前から見学に来てくれていたバリサクさんが入団してくれました!!
というわけで、よこすいはバリサク二人という超贅沢なバンドへ進化しましたよ!!
いやあ、低音部隊が充実すると見た目も豪華で嬉しいです。
そうそう。チューバ吹きが衝動買いでチューバ買っちゃった話をしなければ。
えー、話によれば、楽器屋さんにオイルを買いに行ったチューバ吹きが、うっかりレアな楽器を見つけてその日に買っちゃったそうです。
( ゚Д゚) ナント!!
ひえー!稼いでる大人の特権!!!
ふつうオイル買いに行って楽器買わないですよね。
「いやあ、だってほんとにレアな楽器だったから」
それにしても、買えちゃうところがすごい。チューバだと他の金管楽器より全然高いですからね…
奥様には怒られなかったんでしょうかね(笑)
そして!!
ホルンも仲間が増えました!!!(短期間で三名も!)
エネルギーのある若手が増えて、中低音パワーアップです♪
うわ~~~い嬉しいよ~~~(´;ω;`)
ホルンの楽譜は基本4パートなので、ようやく人が揃いました。
アンサンブルをやるにしてもカルテットのほうが断然いい響きがするし楽しい曲も多いので、そのあたりも楽しみですね。
こちらは、人が増えないけどとっても楽しそうな打楽器。いい笑顔!!
打楽器、大募集中ですよ~!!
この写真は2月なので…
まだコロナの報道もなかったはず。
この練習回では、5月に開催するはずだった演奏会チラシも完成して、団員に渡していたんですよね…
まさか演奏会が開催できなくなるとは、このときは思いもしていませんでした。
人生、何が起こるかわかりませんね。
先日、よこはま吹奏楽団は総会を実施しました。
活動再開は、横浜市の施設が人数制限なく使えて合奏が実施できる頃になる予定です。
この活動休止期間中に見学希望のお問合せも何名かいただき、大変ありがたく思っています。
見学ご希望の方は、どうか活動再開を楽しみに待っていていただだければ嬉しいです。
総会では今後に向けた前向きな話し合いもでき、新たな取り組みもやってみようと計画中です。
嬉しかったのは、総会参加者が8割もいたこと。
そして、久しぶりに顔を合わせた団員達が嬉しそうにしていたこと。
オンラインでも参加できるようにしたんですが、メンバーの元気そうな顔が見られて本当によかったです。
活動休止前から団員が一人も欠けることなくいられることに感謝です。
意欲的に音楽を作っていきたいと思うメンバーが集まるのはありがたいことです。
演奏会にしても別のイベントにしても、”誰か一部の人”が準備するのではなく、団員みんなが何かしらの形で参加して作っていくほうがずっといいものができるしチームワークもよくなります。
また楽しく合奏する日を楽しみにして、今できることをやっていきましょう!
楽器が演奏できない日が続いても、キュッヒル氏の言うように自然と向き合って自分の感覚を磨いていくことを意識してみるのもいいかもしれませんね。
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音楽する楽しさを感じながら演奏して、また練習していられるのですね。素晴らしいです。その気持ちが聴き手に、きっと伝わると思います。