指揮者のいない練習と下振りの難しさ

来年4月の演奏会に向けて、地道に練習をしている今日この頃。

イベントごとがないのも寂しいので、秋か冬には何か演奏の機会があればな~という話や、音楽とは全然関係ないビール工場見学に行きたいな~なんて話もでていますが、ビール工場は管理人が行きたいだけです。予約電話が殺到し何度NTTに「回線が混み合っているのでおかけ直しください」と言われてもかけ直し、ようやくつながった電話は保留音楽がひたすら流れ・・・それを待ち続けてようやく予約ができました( ;∀;)
果たして工場見学につきあってくれる団員はいるのか!?

 

さて、地道に地味に練習しているよこはま吹奏楽団ですが、地道な練習が退屈と言っていられるほど余裕ある上手な演奏ができているわけではありません。新しい曲にとりくみはじめてもう3か月経つのに未だにリズムとか音とか間違えてますからね。できないところが一回でできるようになれば理想的ですが、週一回程度しか吹けない大人達は繰り返さないとすぐ忘れる生き物だから…というよりも、演奏自体ある程度反復練習しないと身につかない部分はどうしたってあります。


(この日はコントラバスとファゴットの見学者さんにお越しいただき、これまでいなかった楽器の音がすることに感動していました)

ところで、一般団体は毎回の練習に常任指揮者(本指揮者)が来れるわけではないと思いますが、指揮者が来れない時の練習はどうしているのでしょうか。
SNSで他団体の練習風景を拝見すると、いろんな団体があって面白いです。
合奏ではなく個人練習に多く取り組む団体や、人数が少なめの団体では管楽器全員が円形になって練習をしているところも。
体制が充実している団体は、本指揮者不在時のためにトレーナーが複数いて合奏をみるところもあります。

よこはま吹奏楽団は、常任指揮者の足立先生が練習に来れない時には演奏係が合奏をみています。

演奏係は下振りをしますが、「下振り=本指揮者の代わりに合奏をみる(指揮する)」といっても、ちゃんと指揮ができるわけではありません。担当してくれている演奏係も一団員であり、専門的に音楽を学んだわけでもバンド指導経験があるわけでもありません。主にメトロノームを使いながら、素人でもわかるレベルの課題を見つけ、共有し、改善するよう練習をするのですが、これが難しいのです。

前にも似たような話をした気がしますが、なにが難しいのかちょっとまとめてみます。
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①演奏を聴く
②課題の整理
例)なんだかぐちゃぐちゃだ→ぐちゃぐちゃの原因は何か?
③それを改善するためにどう伝えるか?どんな練習をするか?
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①の段階で、演奏の課題に気づく耳がなければそこで終了です。例えばハーモニーがぐちゃぐちゃなことに気がつかなければ「うん、まあオッケーかな!」となりますよね。ぜんぜんオッケーじゃなかったとしても。
なので、まずは「問題点に気づく」というのが大事です。

②は、気づいたことを整理する作業です。
例えば、演奏を聴いて「なんだかぐちゃぐちゃだ!いい演奏じゃないな」と気づいても、その原因の予測ができないと対処の仕方に困ります。ぐちゃぐちゃな原因はタテのタイミングが揃ってないせいかもしれないし、ハーモニーが合ってないからかもしれないし、ダイナミクスレンジの変化が揃ってないせいかもしれないし…と、要因は様々です。
また、気づいた課題を全部その時に伝えればいいわけではありません。複数の課題に気づいても、今のレベルで何を取り上げるのが効果的か、どの課題が優先度が高いかなどを考えます。

③は②の内容を言葉にして奏者に伝えるわけですが、この「言葉にする」というのが難しいと感じます。「今こんな状態になっているけど、その原因はこういう点だと思われる。だからこういう練習をしてみましょう」というようなことを、相手に伝わるように話します。現状を伝えるだけでなく改善案まで提示するなんてそんな高度なことを瞬時にやれと…?

もしかして下振りできる人ってすごいのでは…?

と、あまり持ち上げると演奏係がプレッシャーに感じるかもしれないので補足しておくと、ある程度「音楽のよくある練習パターン」を使って対応できる部分もありますし、主に指揮者の指摘していた点を反芻することが重要だったりするので、そんなに難しく考えることもないのかもしれません。
が、なかなか”誰でもできる”ということでもないですよね。

(ホルンは見学者さんにご入団いただき、ついに募集停止に!)

もともと、演奏係には負担となるような高度な内容のことは求めていません。以前指揮者の足立先生と話したときに
足立先生「演奏係は細かいことを指摘しなくても、メトロノームを使って曲を皆であわせてもらうだけで十分ありがたい」
管理人「え、それだけじゃ良い練習にならないのでは?」
足立先生「よこはま吹奏楽団の団員の皆は自ら課題に気づく能力があるから、たとえただ曲を通すだけだったとしても十分良い練習になる」
というようなことを言っていました。

しかし、演奏係の下振りを引き受けてくれたメンバーは、真剣に考えて取り組んでくれます。おかげで指揮者不在時の練習がちゃんと成立しています。本当にありがたいです。

管理人が感じる演奏係メンバーのすごさは、「話すのがゆっくりで、穏やか かつハッキリ言葉を伝えるところ」。

よこはま吹奏楽団は”短時間集中型”の練習なので、一曲にかけられる練習時間が短いです。色々な課題に気づいて細かくやりはじめるとあっというまに時間がなくなります。それで焦って早口になってしまいそうになるところを、演奏係のメンバーは落ち着いて相手が聞き取りやすいスピードで話し、決してなげやりにしたりせず真摯に向き合って合奏の時間を作ってくれます。
正直、演奏をするために入団したのに自分の楽器を演奏できない時間があるなんて普通はイヤじゃないですか。それなのにどうしてこんなに真剣に考えて下振りをしてくれるんでしょうか。

はじめはもしかしたら「頼まれちゃったから仕方なく…」という面もあったかもしれませんが(拒否権はちゃんとありますからね。ムリヤリじゃなないですよ!決して…!)イヤイヤやっているならこんなに真摯に取り組んではくれないはず。

きっと「良い演奏をするために当事者意識を持っているから」だろうと感じます。
当事者意識というのは、人任せではなく「自分のこと」として問題や課題に取り組む姿勢で、「団全体が良くなるために自分に何ができるか」を考えられることです。集団活動には大事な意識です。

大ヒットした某週刊少年漫画の主人公も言っていたのをご存知でしょうか。
「人のためにすることは結局、巡り巡って自分のためにもなっている」と。
ことわざの「情けは人の為ならず」ですね。”人に情けを掛けて助けてやることは,結局はその人のためにならない”という意味だと誤解されやすいようですが実は違います。

楽団の演奏が良くなれば自分も楽しく演奏できる。
とはいえ、貴重なお休みの日の大事な時間を使ってやっている趣味。楽器を吹きたい気持ちをおさえて合奏をみてくれる演奏係のメンバーには感謝ばかりです。
「よこはま吹奏楽団もトレーナー体制を整えればいいんじゃないの?」という声が聞こえてきそうですが、なかなか簡単なことではないのかもしれません。木管・金管それぞれ見てくださる先生方はいらっしゃいますが、お忙しい方々なのでそうそうお呼びできません。常任指揮者が任せられると思えるトレーナーでない場合などは、指揮者と方針が違ったために問題が起こるケースもあるらしいと聞いたことがあるので、誰でも良いわけではなく…なかなか難しいものですね。

最近は演奏係内で相談する時間を設けるようになり、足立先生とも相談する時間を作り、より良い練習ができないかと試行錯誤しています。その中で「練習録音をとろう!」という話がでて「録音担当を手伝ってくれる人はいませんか~」と募集したところ、やれます~!と言ってくれたのがバスクラ様。ありがたや…!
その話はまた次回書こうと思います。

最近、SNSで見かけた言葉に
「あたりまえ は あたりまえじゃない」
と ありました。

人が集まって合奏ができることも、
練習場所を確保してくれている人がいることも、
指揮者不在時に下振りをしてくれる人がいることも、
遅刻をしないで集合時間にきちんと人が集まることも、
準備や片づけを全員で協力してやることも、
常任指揮者がいることも、
団員が元気に演奏していることも、
理解ある家族がいることも、
応援してくれる人達がいることも、

あたりまえではないのです。
あたりまえと思って感謝の気持ちや謙虚な気持ちを忘れたら、任意で成り立つ団体が崩れるのは早いです。

団体理念に書いてある<心構え>を思いだそ… と思った管理人でした。

 

~おまけ①~

TwitterがXに変わり、気づいたら楽団アカウントがサーチバンというのになっていました。なんでだ!!
web検索して色々対応してみましたが解除されません。とりあえずそっとしとけ!という意見もあるので今は放置中。
誰か良い方法あったらお知らせください。求む!解除方法!!

 

~おまけ②~

やっぱり2019年に同じような記事を書いてました。昔のほうがうまいこと文章書いてた気がするな・・・

よかったら読んでください。
「合奏をみるのは難しい!3つのポイントとは!?」